放課後の部室にて、優は杏に相談事を持ちかけていた。

「あの、あの、杏先輩。この前話していたことなんですがいいですか?」

「えっと、なんだっけ?」

「えっと、あの...私に好きな人ができて...だから...相談に乗って欲しいのですが」

優は言いづらそうな様子でもじもじと組んだ手を動かし、そう言った。最後の方は耳を澄ませないと聞こえないほどの小さい声になっていた。

「ああ、そうだったそうだった。ゆうにゃんの好きな人かあ。どんな人なんだろー」

杏は、期待した表情ですごく嬉しそうにニコニコしながらそう言った。

逆に優は少しがっかりしたような、緊張したような表情だ。

しかし、優は決意したようにキリッとした目を杏に向けた後、自分が好きな人について杏に相談し始めた。

「私が好きな人は、いつもだらしなくて、練習もあまり真面目じゃないですし、勉強も運動もあまりできない感じなんですけど、でも、いつも一緒にいてくれて、私に元気をくれるような、そんな人なんです」

優はしっかりした口調で言い切った。

「そうなんだー」

杏はふにゃっとした笑顔でのんびりとそう答えた。

「あの、でですね、どうでしょう杏先輩?」

「えっ、あー、えー、ゆうにゃんがいいと思った人なら、きっと大丈夫だよ!」

杏はいきなり自分の意見を聞かれ最初は少し困惑した感じだったが、最後の方は気合を入れるポーズではっきりとそう言った。

「でも、ゆうにゃんもそういうこと考えるお年頃なんだねー。先輩は少し置いてかれた気分です!」

杏は最後、ふざけたようにそう付け足した。

「え、そんなことないですよ。私なんてまだまだで...」

そう言いかけた優だったが、「...杏先輩、私のこと子供扱いしてません?」とジト目で杏に詰め寄った。

「え、そんなこと...ないよー」

杏はあからさまに視線をそらしてそう返事をした。

「もー、杏先輩のほうがよっぽど子供っぽいじゃないですか?」

「えー」

こうして会話はいつもの流れになっていった。

優は一人になった時にその事に気づいて、少し落ち込むのだった。

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