「杏先輩、今日も一緒に帰りませんか?」

優はすごく期待した表情で後ろで手を組み、低い姿勢から杏を見上げた。

杏はちょっとまごついた様子で「あー、今日はちょっと急ぎの用で早く帰らなきゃいけないんだ。ごめんね、ゆうにゃん」と申し訳なさそうにそう言った。

「...そうですか。それなら仕方ないですね」

優はがっかりした顔でうつむいた。

しかし、すぐに表情を取り繕って顔を上げた時には「大丈夫です。でも、明日は一緒に帰りましょうね」と元気そうに言った。

「うん、ごめんね...」

そう言った杏に優は突然抱きついた。

「わっ、みんな見てるよ、ゆうにゃん...」

杏は少し低い声で優に囁く。

しかし、優は「大丈夫です。他の人がどう思おうが、関係なんてありません!」と言うのだった。

瞳を閉じてそう言うが、全然、大丈夫じゃないよ!

しかし、そんなことはお構いなしに、優は慌てふためく杏先輩をかわいいと思うのだった。

もっともっと杏先輩を慌てふためかせたい!!

「それに、1年前は先輩がやってたことじゃないですか」と優が杏の腕に寄り添いながら自信満々にそう言う。

「うーん、そうだけど...でもでもー」

一方で杏は歯切れが悪かった。

「あ、もうそろそろ時間だよ、ゆうにゃん!」

そう言いながら腕時計も何もない右腕を見ながら杏は優から離れた。

「じゃ、じゃあね。ゆうにゃん、また明日ー!」

杏は下駄箱から校門に向かって、今日は一人で帰っていくのだった。

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