最近、何事もない平和な日々が続いている。

優にとってもそれは喜ばしいことだったが、同時に、何かが欠けていると思い始めていた。

それがなにかは分からない。

しかし、優の周りにいる限られた一部の人達はおそらくそれを知っていた。

それは多分、いたずら心ではないだろうか。

実は、意外かもしれないが優は大のイタズラ好きなのだ。ごくごく稀に突拍子もないことをやり始めることがあった。しかし、それは基本的にステルス性能だったので気付いている人は少なかった。また、本人すら気付いているのか怪しかった。

そんなことだから、当然、天然成分たっぷりの杏がその危険に気づくはずもなかった。

そして、平和な日々が続くこと、それは、小悪魔を内に秘めたステルスな後輩が、天然のんびりハートを持った無垢な先輩に襲いかかることにつながっていたのかもしれなかった。

「......」

「...ガチャ」

「わっ!」

優がロッカーの中から勢いよく飛び出して、大声を出す、すると、

「うわわわわわあああああー!!!」

扉を開けた杏は、突然のことに大声を上げて驚き、ぺたんと床に座り込んでしまった。

「ぷっ、あはははははは!」

優は杏が驚いた様子を見て大爆笑した。

そして、笑いながら目頭お抑え「杏先輩も驚くことってあるんですね」と言った。

ふくれっ面で起き上がった杏は「むー」と唸り、「もう!ゆうにゃんとはしゃべらないもん!」と言った。

杏は珍しく怒っている?ようだった。

それを見て慌てた優は「大丈夫です、大丈夫です。杏先輩、オバケじゃありません」と言った。

言い訳のつもりだろうか。よくわからないけど、ひどいよ!

「大丈夫じゃないもん、オバケじゃないもん!」

杏は、自分よりも背丈が小さい後輩に強く威厳たっぷりに指導した...つもりなのかもしれない。確かにオバケではないが...客観的に見て、効果は今ひとつだ。そして、意味がわからない。

しかし、優は少し反省した様子で「...ごめんなさい」と素直に謝罪の言葉を口にした。

「むー!」

そう言って、杏は見極めを開始した。

しかし、二人が見つめ合った次の瞬間、

「でも...ぷっ、くすくす...」

優の思い出し笑いが発動!

「ゆうにゃんがいじわるするー」と杏が言った。

どうやら謝罪は受け入れられなかったっぽい。そりゃそうだ。

そんな感じで、今日も部活が始まっていく。

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