最近、ゆうにゃんがすごく優しい。

よくギュッと抱きしめて、いいこいいこしてくれる。

でも、ゆうにゃんは、私よりも一回り小さくてかわいいんだよ!後輩なんだよ!

にも関わらず、後輩に「かわいい、かわいい」と言われ、先輩である自分が甘えてる側なんてやっぱりなんかおかしいよ。

ここは、先輩としてリードを広げないと!

杏にとっては、そんな事を考えてのお泊まり会だった。

「ピンポーン」

杏の家の呼び鈴が鳴った。

「はーい!」

杏はそう言って玄関に急ぐ。

杏が玄関を開けて入ってきたのは、やっぱりと言うか、当然というか、部活でおなじみの優だった。

「いらっしゃーい!」

「おじゃまします...」

定型的なやり取りをした後、二人で二階に上がった。

杏の部屋は、階段を上がって左側にある通路の一番奥だった。

杏の部屋は自分にとっては見慣れた光景だが、優は初めてだったので、キョロキョロと部屋を見回している。

「へえ、キレイなお部屋ですね」

優は一通り見回した後、そう言った。

「あ、うん。えへへ...」

杏は特になし。

「で、今日は何するー、何食べる?」

杏はそう言って引き出しを開けた。すると、たくさんのお菓子が出てきた。そんなにたくさん一体どこに入ってたんだよ、その引き出しは四次元ポケットかなにかかと思うほどたくさん出てきた。

「...お菓子、ですか?」

優は、床一面を埋め尽くすほどの色とりどりのお菓子に圧倒され、少し戸惑った様子で言った。

「えっと、まず夏休みの宿題を少しやりません?」

すると、こちらも定番ではあるが「えー」と杏からブーイングが飛んだ。

......。

結局、その日はほとんど夏休みの宿題をやってた気がする。

そして、一日が終わり、夏休みの宿題も半分片付き、風呂も終わって、あとは寝るだけになった。

布団に潜りながら、杏は今朝考えてたことをどうしようーと今更ながら思い出して内心焦っていた。

そう、先輩としての威厳を取り戻す話だ。そのために、なにか、なにか、行動を起こさなねば!

「なんかないかな、なんかないかな」

杏はブツブツと独り言をつぶやいた。

すると最近よくあるパターン通りに、優が杏を甘やかしに来た。

「大丈夫ですよ、先輩。私がずっとそばにいますから」

キター!!!

いや、違う違うと思いつつ、優にギュッと抱きしめられ甘い言葉を囁かれているうちに杏は、言葉とは裏腹にぽわぽわと暖かくなって、いつもよりたくさん暖かくなって、なんか頭がボーッとしてきた。

いや、ダメだ、ダメだ。杏は、頭をふりふりして、眠気なのかなんなのかよくわからない気配を吹き飛ばそうとした。

「どうかしました?」

横にいる優が聞いたので、そちらの方を向く。

すると、あまりに顔が近いことに気がついた。気がついてしまったのである。

え、な、なに、なんで、どうして...そんなことを思う間もなく、杏は、なぜか優に引き寄せられ、とにかく口と口をくっつけたいと強く感じた。

優に近づいていく杏。

.....。

でもそれは途中で遮られた。

無言で遮ったのは、自分ではなく、なんと優だった。

「えっ、ちょっと待ってください、ちょっと待ってください」と優は杏を遠ざけた後、少し遅れてそんなことを言ってたような気がする。

あれ?と杏はそう思った。拒否されたのがショックだったのか、なんなのか、今となっては杏にも分からなかった。

少しの間、放心していると、優は、顔をそむけた。しかし、優の顔は、暗闇でもはっきりと分かるくらい真っ赤だった。

杏は「ああ、ゆうにゃんは、照れてるのかもしれないなー」とそんなことを思った。

すると優は、「えっと、その...私達、もっとフラットなお付き合いをしましょう!」と訳のわからないことを言い出した。

杏は反射的に「えっー、いつもと言ってることが違うよー」とそう言った。

「.....」

その後は、二人とも無言になったので、考える時間がたっぷりあった。

杏が思ったのは、優はちょっと子供っぽいと言うか、恋愛方面、友情方面の知識があまりないなということだった。そう言えば、優は好きな人と一緒にいれば子供ができると信じてたこともあったっけ。

だから、ゆうにゃんとキスできなかったことは残念だったかもしれないけど、でも、ゆうにゃんが、自分のことをすごく好きなことは伝わってきたし、杏にとっては大満足のお泊まり会だったなーと思った。そして、そんな事を考えていると、杏はいつの間にか幸せそうな顔で深い眠りについていた。

「Zzz...もう食べられないよー」

ちなみに、優は、ドキドキしてその日は眠れなかったそうです。

おしまい☆

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